Nくんへ

ささきももこさん(20代後半・女性)
2023年10月に長男・Nくんを出産。
想いをつむいだ日:2024/1/16

このお手紙を読んでいるときには、もうすっかり大人になっているのかな。

今のNくんは、生まれて3か月。まだとってもちいさくて、抱っこするとふわふわ、幸せなにおいが鼻をくすぐるよ。毎朝起きて、元気なNくんに会えると本当にうれしい。

この手紙を書こうとしてNくんのことを想うと、どんどん涙があふれてくるよ。(知っているかもしれないけれど泣き虫母さんです)こんなに大好きで、大切なあなたと出会えたことに本当に感謝してる。ありがとう。

胸がいっぱいになってあふれてしまいそうなこの想いを込めて、手紙を贈ります。

お腹の中に宿っているいのち

Nくんがお母さんのお腹に来てくれたのがわかったのは、2023年2月23日。

その日は、ばぁばとひぃばぁばとの東京旅行から帰ってきた日でした。はじめて3人で旅行した日だからよく覚えているよ。

その頃、お父さんとお母さんは赤ちゃんが来てくれるのを心待ちにしていたから、やっと会えるんだねとすごくうれしい気持ちと、本当に来てくれたんだと驚く気持ち、大切にしたいという気持ちと、いろんな気持ちが入り混じってなんだかふわふわしていたのを覚えています。

お父さんは出張で家にいなかったから、妊娠したことをメールで伝えると、すぐに電話をかけてくれて一緒に喜んでくれたよ。

妊娠がわかってから、元気に生きてくれているのかな……と心配してたから、健診ではじめて心拍を確認したときは、ほっと安心したのを覚えてる。5月31日には、はじめてぴょこって胎動を感じて、うれしかったなぁ。お腹の中で優しく動く子だったから、きっと生まれてからも穏やかで優しい子なんじゃないかなと勝手に想像しています。(手紙を読んでいるNくんはどんな風に成長しているのかな?楽しみ!)

7か月くらいからはどんどんお腹も大きくなってきて、お腹の中で生きているいのちを想像するとうれしくて、愛おしくて、だけどお腹の中にいのちが宿っていることがいつも不思議でドキドキしていました。

ちゃんと大きくなっているかな、元気に生きているかなって不安になることもあったけど、「赤ちゃんの生きる力をわたしが一番信じるんだ!」って気持ちで過ごしていたよ。

ありのままの気持ちを大切に

お母さんは「自分がちょっと我慢すれば、みんなが助かるから」と、そんな風に考えている人でした。

でもね、お母さんのお腹にNくんが来てくれて、変わりました。

ずっと忙しく働いていたけど、だんだんとお腹が大きくなってきて自分の体が思うように動かなくなっていって。そんなときに、お母さんは今の自分の働き方は無理してるんだなって気づいたの。

本当の自分はどういう風に過ごしたいと思ってる?体を大切にしたり、時間に余裕を持ったり、そんな風に過ごしたいんじゃなかった?って、自分に問いかけるようになりました。

そうして、自分が本当に心地よく感じる過ごし方を、自覚できるようになっていったんだよ。

これまでは自分の本音をなかなか言えなかったり、気づくことすらできなかったり。自分の気持ちを言うと誰かが傷つく可能性もあるんじゃないかと思って、すごく、すごく整えてからじゃないと文章を出せなかったり。

でもね、自分の感覚や本音をそのまま受け入れてあげていいんだって思えるようになりました。綺麗に整えなくても、ありのままに表現してもいいんだなって。(むしろその方が上手くいく!)

お腹の中のNくんを大切にしたい。だからこそ、自分を一番大切にしたい。

自分のことを一番最初に大切にして、自分を満たしてあげることで、心地よく過ごせることができる。その中で生まれてきたエネルギーをまた違うところに使うこともできる。自分が元気だから、Nくんのことも、お父さんのことも、家族のことも大切にできる自分でいられるんだ。

本当の意味で、大事な人をこれからもずっと大切にするためには、ありのままの気持ちを大切にして生きることが大事なんだって気づくことができました。いつも大切なことを教えてくれるNくんはすごい!ありがとう!

生まれた日のこと

Nくんは、広島のばぁばのおうちの近くの病院で生まれました。

妊娠38週に入った10月14日、この日は妊婦健診で病院にきていました。順番をまってるときにおしるし(もうすぐ生まれてくる合図)がきて、その5分後には健診を受けられたから、驚いたけどタイミングのいいおしるしだなぁって思ったよ。

その夜、ばぁばと「おしるしがきたから、2〜3日後には生まれてくるのかな。1週間くらいかかる人もいるみたいだね」と話していたんだけど、なんと次の日から陣痛が始まりました。もうすぐ生まれてくるのかなって、ドキドキが少しずつ高まっていて、「頑張ろうね」って心の中で呼びかけながら、何度も動画を見て練習してきた腹式呼吸をしてたよ。

15日の夜、陣痛の痛みがどんどん強くなってきて感覚も短くなってきたから、病院に行くことにしました。深夜12時くらいに陣痛が1分間隔に。でも、全然子宮口が開かなくてまた家に戻ることになったの。

16日は弱い陣痛が続いていたけど変わりはなく、夜はぐっすりと眠りました。

そして迎えた17日の朝。朝起きて、2、3歩あるいた時に破水!「いよいよだね。もうすぐ会えるんだね」そんな気持ちですぐに病院に向かったんだけど、やっぱり子宮口がなかなか開きませんでした。

子宮口が開かなければ、赤ちゃんはお腹から出てこれません。だけど、どんどん痛みは強くなっていたし、長引いちゃったらNくんもしんどいかもしれない……。そして、促進剤を打ってもらうことになりました。

それからは、息をするのも必死。吸うのも吐くのも、もう限界って感じだったけど、「頑張って生まれてくれようとしてる。わたしも自分ができる最大限のことをしよう」と、必死に呼吸していたよ。

お父さんも、ずっとそばにいてくれたよ。出産のときは一緒にって、お父さんが言ってくれたの。お母さんが痛みに耐えてるときには、そばでずっと応援してくれていて、飲み物を飲ませてくれたり、テニスボールを体にあててくれたり。

生まれる直前って本当に痛いから、腰のあたりにテニスボールを押し当てて痛みを和らげたりするの。お父さんが全力でボールをあててたんだけど、お母さんは「まだ足りない!」って言っていて。お父さん驚いてた(笑)

きっと、お母さん1人じゃすごく心細かったと思う。お父さんがそばにいてくれてすごく心強かったんだ。お父さん、一緒にいてくれてありがとう。みんな一緒に出産までを乗り越えたよね。

いよいよ生まれそうになって分娩台に移ってからは、もうあっという間!3回目にいきんだところで、あなたが生まれました。

Nくんが生まれてきてくれたときのこと、今でも覚えてる。

生まれたばかりのNくんを胸に抱いたときの、肌に伝わってくるあたたかさと、いのちの重み。言葉にならない感動が、胸に込み上げてきました。

すぐに目元がお母さんに似てるなってわかるようなお顔で、血がつながっているんだなって、すごくうれしくて、愛おしかった!

お父さんも、もうすっごいすっごい笑顔で、本当にうれしそうだった。

「うれしいね」「おてて小さいね」って、ずっと2人で言い合っていたよ。(お父さんが、生まれる瞬間や体重測ってもらっているところも全部動画で撮ってくれました!)

数日後、生まれたときの外の風景を撮った写真と助産師さんからのお手紙をもらいました。写真に写っていたのは、秋晴れの気持ちのいい光を感じる景色。じつは出産のときは外を見る余裕もなかったんだけど、生まれた日はとても気持ちのいいお天気だったことを知りました。

お手紙には、「お産のときにお母さんと赤ちゃんの息がぴったりだったよ!」って書かれていたよ。Nくんが心を通わせて生まれてきてくれたんだって、すごくうれしかった。

となりで寝ているNくん。静かにゆっくりと流れる時間の中で横顔を見つめながら、ほっと安心した気持ちと、うれしさと、愛しさでじんわりと心があたたかくて。「ああ、これが幸せなんだな」って、そう感じたの。

抱っこしているときも、寝ているときも、ずっと顔を見つめていたい。

そんな、幸せな気持ちで過ごしました。

退院してしばらくは広島の家で過ごして、ばぁばに鼻水がでたときどうするかとか、沐浴の仕方を教えてもらったりしたよ。

じぃじはそんなに感情を出すタイプじゃないのに、抱っこしてるときはめちゃくちゃ笑顔になってた!夜にお仕事してるから、お昼は寝てることが多いんだけど、1日1回は絶対に抱っこする!って決めてるくらいNくんが大好き。

ばぁばも、じぃじも、もうメロメロで、お母さんとNくんが島根に帰るときには号泣して淋しがっていて、お母さんがびっくりしちゃうくらいでした。

たくさんの幸せをありがとう

3か月になったNくん。生まれたばかりのときは本当に細かった足もぷくぷくしてきました。

この頃はお母さんが笑うとニコッとしてくれるよね。「しましまぐるぐる」や「ねむねむごろん」の絵本を読むと、じーっと見るようにもなりました。

お母さんからだけじゃなくて、コミュニケーションをとってくれるようになってきて、すごくうれしいし、楽しいよ。

Nくんは、毎日のふとした瞬間にたくさん幸せをくれるの。
顔いっぱいのにっこり笑顔を見せてくれたとき。
お母さんのおっぱいを飲んでいるとき。
洗濯物を畳んでいると、見つめてくれているとき。
お風呂で気持ちよさそうにしているとき。
抱っこでゆらゆらしていると、だんだん瞼が閉じていく様子。
あたまから漂うやさしいにおい。
まだ首の座っていないNくんを胸に抱っこしているとき。
触れ合っているところから感じるぬくもり。
時に大変な重み。

一緒にいると幸せで、ずっと見つめていたくなるんだよ。本当に、可愛くて仕方がないの。自分よりも大切な存在がいるって、こんなにも幸せなんだ。

お母さんにそんな気持ちや経験をくれて、ありがとう。

お母さんから伝えたいことは、「いのちを大切に」ということ。まずは自分のいのちを大切にしてほしい。そして自分のいのちをつくる食べ物のいのち、周りにいてくれる家族やお友達のいのち。まずは自分のことを大切にできると、本当の意味で周りの人のことも大切にできるよ。

Nくんは、わたしたち家族にとってかがやくたんぽぽみたいな存在。そこにいるだけで、周りの人は笑顔になっちゃう。あたたかい陽だまりの中で咲いているお花。

みんなに愛されているんだよ〜!

Nくんに出会えて、本当に感謝してる。出会えて、お母さんはすごく幸せ!これからもずっと味方だし、ずっとずっと大好きだよ。何があっても、それだけは絶対に変わらない。

だからね、これからも絶対、大丈夫!!!安心していろんなことにチャレンジして人生を思いっきり楽しめますように。

Nくんの心と身体が元気であることをずっと心から願っているよ。

お母さんより

この文章は、インタビューの内容をもとに執筆しています。